研究課題/領域番号 |
07505020
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 豊信 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00111477)
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研究分担者 |
納富 啓 三菱重工(株), 長崎研究所, 主務
作田 忠裕 金沢大学, 工学部・電気情報工学科, 教授 (80135318)
寺嶋 和夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30176911)
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キーワード | ハイブリッドプラズマ溶射法 / SOFC / YSZ / 開放端電圧 / その場計測 / 大口径誘導プラズマ |
研究概要 |
本年度はSOFC構成要素のうち電解質(YSZ)膜に着目し、皮膜の高性能化及びセル面積拡大を目指し研究を行なった。これまでに減圧溶射により開放端電圧(OCV)約1Vという理論値に近い値を得ているものの再現性に問題が残っていたため、まず電解質の緻密化・薄膜化の限界を探る研究を行なった。応用に先立ち、YSZ粒子の変形・凝固挙動のその場計測を行なったところ、減圧時にのみ凝固時間は飛行中の速度に依存する傾向を示し、YSZのような高融点・高放射率をもつ物質においては減圧溶射が有効であることが明らかとなった。応用として減圧溶射したYSZ膜の膜厚をパラメータとしてOCVを計測した結果、30μmまでは膜厚とともに上昇し0.8V程度に達した後、緩やかな上昇を示しつつ理論電位1.126Vに漸近することが判明した。電解質膜は導電性が悪く膜厚は厳しく制約する必要があり、緻密性との兼ね合いから本条件下における最適膜厚は50〜70μmと結論できる。上記結果を踏まえて直径6cm程度までセル面積を拡大することを試みた。大面積化にあたって基板の回転・水平移動を同時に行なえるチャンバーを設計・開発し、移動時間を制御し膜厚が均一に70μmになるようにして堆積を行ない、基板回転軸近傍と外周部のOCVの差が0.02Vのほぼ均一な皮膜を得た。しかしながら大面積化によって緻密性が損なわれOCVは0.73Vまで低下しており、条件最適化が今後の課題として残る結果となった。 他方、プロセスの高度化を目指し大口径誘導プラズマの発生に関して理論と実験の両面から検討した結果、現行の数MHz電源から数100kHzを経て50kHz程度の低周波電源が適用できることが判明した。要求される電力は圧力760Torrで100kWレベルで、これにより直径10〜15cmの大口径プラズマが形成でき面積で1桁大きくすることが可能であるとの結論を得た。
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