溶解の熱源となる電子ビームのエネルギー分布を決めるために、小型溶解炉でグラファイトボトムを用いて、伝熱がボトム底のみから起るような条件で、ボトム内の2ヶ所あるいは3ヶ所で温度を測定して抜熱量が求める実験を行った。実験から入力を1kWとしたとき、200秒程度で定常状態に達していることがわかった。この結果は、電子ビームのエネルギー分布をガウス分布と仮定して内部の温度分布をシミュレーションした結果と一致し、ビームの本質的な表現が可能になった。大型実験装置の開発においては、この結果をもとに固液界面の形状がなるべく平面に近くなるような加熱パターンが実現可能になるよう、凝固部に付加ヒーターを設置した。 シリコンの方向性凝固の際、オシレーションと、原料シリコン導入にともなう温度変化を測定し、インゴットの製造後、垂直断面のFeの元素分析をEPMAを用いて行った。 その結果、ルツボ冷却壁側から大きく結晶が成長している位置で、Feの強度が高いことがわかった。またその位置は、温度測定の実験結果から求めたルツボ壁面からの抜熱量が大きくなった位置と一致していた。すなわち凝固速度が急に変化したことによって、その位置に不純物が濃縮したものと考えられる。
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