研究概要 |
分子量・官能基の量・分布に関して分子設計された高分子を用いて実験する目的から,まず,極性基を片末端あるいは両末端に導入した高分子,およびグロック共重合体をリビング重合法を利用することで合成を試みたところ,目的とする高分子を得ることができ,これを用いて吸着形態の評価を引き続き行っている。平成7年度申請備品である表面間力測定装置,また,エリプソメトリー,π-A曲線,FTIR等を駆使するとにより,シリコンウェハ-への吸着形態を評価することができた。従来,ホモポリマー系においての解析は理論・実験両面から行われたが,ここで得られた知見はより実用に近い形での高分子についての結果である。一方,電子顕微鏡・ESCA・表面積測定・拡散反射FTIR・熱分析により粒子の表面性状のキャラクタリゼーションを行い,それに対する吸着形態を評価することができている。さらに,平成8年度申請備品である原子間力顕微鏡を用いた観察・動的光散乱によって,曲面に対する吸着形態を明らかにすることができ,粒子の分散性をミクロな観点から評価する技術を確立した。ここで得られた結果は,沈降体積,沈降速度,レオロジー測定による結果と対応関係に有り,相補的な解析が可能であることを明らかにすることができている。従って,研究課題名にあるように,分子設計された高分子の吸着挙動の評価,そして吸着形態をプローブとした界面構造の制御へ着実に研究を進めていると言うことができる。今後これら知見に基づいてより一層の複合材料の機能化・高性能化を計って行く予定である。
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