研究課題/領域番号 |
07505029
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研究種目 |
試験研究(A)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
脇原 將孝 東京工業大学, 工学部, 教授 (20016596)
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研究分担者 |
鈴木 公仁 新日本製鐵(株), 先端材料研究所, 研究員
行田 博将 東京工業大学, 工学部, 助手 (80242270)
内田 隆 東京工業大学, 工学部, 助教授 (10126310)
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キーワード | リチウム二次電池 / スピネル型酸化物正極 / 拡散係数 |
研究概要 |
本研究では、LiMn_2O_2の構造を安定化するためMnの一部を他の遷移金属で置換した四元系正スピネル酸化物LiM_yMn_<2-y>O_4(M=Cr、Co、Ni;y=1/9、1/6、1/3)を合成し、X線回折による結晶構造の解析とリチウム二次電池特性の評価を行った。 リチウム二次電池用のスピネル型酸化物は、炭酸リチウム、炭酸マンガンと他の遷移金属の塩を所定の元素比になるように混合し、750℃で3日間加熱を行って合成した。X線回折の結果、合成したLiM_yMn_<2-y>O_4(M=Cr、Co、Ni;y=1/9、1/6、1/3)は、全て立方昌のスピネル構造の単相であり、置換量が増加するに従って格子定数は徐々に減少した。また、LiM_yMn_<2-y>O_4の充放電曲線については遷移金属の置換量が増加するに従い、充放電容量は減少することがわかった。これは、3価あるいは2価の遷移金属で置換することにより、Mnの平均酸化数が増加し、リチウムのデインターカレートする量が減少するためであると考えられる。一方、LiM_<1/6>Mn_<11/6>O_4(M=Cr、Co、Ni)のリチウムのインターカレーション・デインターカレーションに伴う格子体積の変化を概算するとM=Mn:7.5%,Cr:5.4%、Co:6.0%、Ni:4.4%となる。従って、他の遷移金属で置換することにより格子定数の変化が抑制される。また、遷移金属の置換量が増加するに従い、格子定数の変化量は減少した。 このように、Mnを他の遷移金属で置換したスピネル型酸化物の方が良好なサイクル特性を示した。充放電容量とサイクル特性の両者を考慮すると、LiCr_<1/6>Mn_<11/6>O_4あるいはLiCo_<1/6>Mn_<11/6>O_4がスピネル型酸化物正極では、優れた特性を示すと考えられる。 また、電流パルス緩和法により測定を行った正極内におけるリチウムの化学拡散係数は、どの試料についてもOCV曲線の傾きがほぼ一定の値をとるリチウム組成の範囲(0.6<x<0.85)では、ほぼ一定であった。また、Li_xCr_yMn_<2-y>O_4を例にとると、y=0のときlog(D=/cm^2s^<-1>)=-9.5,y=1/3のときlogD=-8.5というように遷移金属の置換量が増加するに従って拡散係数は増加した。
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