研究課題/領域番号 |
07507003
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
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研究分担者 |
森 尚樹 伊原電子工業(株), 開発室, 研究員
竹中 良則 旭メディカル(株), 技術第一部, 研究員
尾崎 信弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (50211818)
稲本 俊 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10135577)
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (60263084)
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キーワード | 人工肝補助装置 / 体外肝灌流 / 超急性拒絶反応 / 1型可溶性補体受容体 / 異種血液灌流 / 異種移植 |
研究概要 |
1.ブタ肝の体外灌流時に冷阻血時間を短縮、生理的範囲に維持した灌流血液の酸素化、プロスタグランジンE1の門脈内持続投与を行うことでヒト血によるブタ肝異種灌流は9時間以上にわたり良好なグラフト機能(門脈圧、胆汁産生、アンモニアクリアランス、L/P比)が維持されることを示した。しかし、長時間の異種血液灌流によりブタ肝は著しい浮腫と出血による液性障害を受ける。 2.異種灌流時の液性傷害は可溶性1型補体受容体の投与で補体を抑制することにより著明に改善された。即ち、肝実質細胞傷害(ミトコンドリアGOTの上昇)、肝内皮細胞傷害(CPK-BBアイソザイムの上昇)、血小板凝集、溶血などが抑制され、異種灌流初期のICGクリアランスは良好に維持された。補体抑制により異種灌流時の肝臓の液性傷害は組織学的にも劇的に改善され、補体活性化の最終産物である膜攻撃因子の沈着も抑制された。 3.また、本研究では異種灌流時には類洞内皮上に異種抗原の1つである第VIII因子の発現が誘導されることを証明した。また、肝臓内皮細胞上には異種細胞拒絶に関与するESelictin は発現しないことも証明した。これらの知見は肝臓における異種移植の分野に貢献度の高い報告であると考えている。 4.本異種体外灌流システムを肝不全犬に接続した場合、可溶性1型補体受容体を投与しない状態でも、アンモニアの上昇を抑制し、10時間以上の生存時間の延長を認めた。可溶性1型補体受容体を投与した場合には24時間を越える肝補助が可能となることも証明した。 5.これらの成果により平成8年度基盤研究重点設備費により、わが国最初の異種動物由来の肝臓を用いた肝補助研究・臨床応用施設が始動することとなった。
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