研究概要 |
イノシトール三リン酸受容体(IP_3R,2749アミノ酸)のアミノ末端側650アミノ酸内には、リガンドであるイノシトール1,4,5-三リン酸(1,4,5-IP_3)を特異的に認識する領域が含まれていることが知られている。我々はセカンドメッセンジャーとしての1,4,5-IP_3の細胞内濃度を定量にするため、IP_3のリガンド部分の解析をすすめた。まず、IP_3Rのリガンド結合領域を大腸菌で発現する系を確立し、リガンド結合活性を欠く部位特異的アミノ酸置換変異体を作製し、リガンド結合に関与するアミノ酸を明らかにした。今回、種々の欠失変異体を作製し、リガンド結合に必要な領域を特定した。さらに、この領域内に部位特異的変異を導入し、リガンド結合活性とイノシトールポリリン酸の結合選択性を解析した。その結果、1アミノ酸の置換により1,4,5-IP_3に対する親和性は低下するが、2,4,5-IP_3に対する親和性は変化せず、結果として1,4,5-IP_3と2,4,5-IP_3を同等の親和性で認識する変異体が得られた。また、1,4,5-IP_3に対してより高い親和性を示す変異体も得られた。この実験系から得られた結果をもとに、IP_3Rのリガンド結合領域の詳細な構造と機能が明らかとなった。
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