研究分担者 |
愈 栄 住友金属工業株式会社, バイオメディカル事業部, 研究主任
長谷川 明生 名古屋大学, 大型計算機センター, 助教授 (20126890)
孫田 信一 愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所, 室長 (00100165)
並河 鷹夫 名古屋大学, 農学部, 教授 (70111838)
小原 良孝 弘前大学, 理学部, 教授 (90003673)
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研究概要 |
ヒトにおいては集団検診システムとして一定の実用化がなされている染色体自動画像解析システムであるが,動物についてはまだ使用にたえるものはない.そこで住友金属社製のカリオビジョン2000をベースに動物用自動解析ソフトを開発することを意図した.そのため基本となる多くの動物染色体のGバンド標本を作製し,標準化をおこなった.これらの画像は約100細胞コンピュータに記憶させることにより,自動並べ換えなど,標本処理を可能にした. 1)染色体画像解析結果すなわちバンドパターン,長さ,面積など特徴量をファイルに累積保存するソフトおよびインターフェイスを作成した. 2)データベース項目名を動物用に変更し,種名,系統名,標本番号,採集者,分析者などを記入できるように設定した.分析用に作成した染色体はスンクス(ジャコウネズミ)やチャイニーズハムスターに続き,家畜ではブタ,ヤギ,ウシ,野生動物ではハントウアカネズミ,ハタネズミ,ヒメヒミズで,コンピュータに取り込みをおこなった.ヒット率(正確に並べ換えができた染色体の割合)は最も高いチャイニーズハムスターの94.5%から最も低いウシの67.5%の間であった.これらの変動要因は言うまでもなく染色体標本がいかにうまくできているか,個々の染色体の特徴がはっきりしているかに依存していた. 3)今回のシステムを構築するに当たって新しく開発したバンドの特徴を抽出する方法は,次のような利点がある.1.正確さ:1本の滑らかな曲線によって染色体の輪郭をトレースして認識させるかという方法ではなく,染色体のバンドから中軸を描き出す方法であるので,誤差を減らすことが可能になった.2.柔軟性:染色体の形状は仮定できるものではないのでこの方法によって得られた染色体の中軸は,その形状を十分広くモデル化することができる.3.早さ:染色体を骨格化するという作業を回避することができ,その結果解析スピードが向上した.
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