研究概要 |
本プロジェクトは、1997年度に光蓄積リングのレーザー発振を行う計画である。今年度は、小型電子蓄積リングの基本設計を行い、常電導磁石の制作を完了し、来年度に高周波加速システム、電子入射システム及び完全円形光共振器を完成する予定で進めている。結果は、予定どうり基本設計を完了し、磁石の制作を完了した。また、高周波加速空洞の設計を行うとともに、2/3共鳴入射のためのパ-タベータの設計と入射のシミュレーションを実施し、入射効率を確認した。加速空洞は2台設置し、パ-タベータも2台設置する設計とした。据え付け誤差を除くために、加速空洞、パ-タベータ、ビームダクトを一体で制作する設計とした。加速空洞の周波数に2.45GHzを採用したのは、ソースとしてマグネトロンを使用し、制作費を押さえるためと、マグネトロンが、空洞に追随させる方式で周波数を可変にできる可能性を含んでいるためである。ミラーに関しては、当初発振波長を30μmに設定し、その曲率半を207mmとし、ひずみをさける目的と熱伝導の点で、SiCセラミクスを母材に用いることした。制作精度は、0.1μmの真円度と0.01μmの表面荒さを達成することを目標としている。ミラーは電子軌道と同心で有ることが発振に必要であるが、このためミラーのx,y,θ微調機構を導入する。以上の構成要素は、いずれも高度な制作技術を要求するが、これにチャレンジするメーカーを見いだすことができた。一方、光蓄積リングの理論的な研究をさらに前進させることができたが、50MeVという低エネルギー小型リングを用いて高輝度ハードX線を生成する手段を明らかにした。電子軌道上に金属細線を挿入することにより、計算では10^<12>個/s, mrad^2, 0.1%bandを達成することができる。金属細線を挿入しても電子ビームは平均0.1msのあいだ周回し続けることを発見したのが鍵である。
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