本年度は、CCD試験装置を導入した。これは、真空槽内に素子を設置し、液体窒素により、素子を-150℃までの任意の温度に設定できるように温度制御できるようになった。さらに、槽内には、モーター制御できる3本のアームがあり、CCD素子、比例計数管、X線フイルターを移動させることが出来、各種X線に対する特性を測定しやすくしている。次に、X線用にマスクパターンを作り、CCD素子を試作した。この素子をCCD試験装置に設置し、0.8〜2.2keVについては、グレーテイングを使つた分光器による単色X線を用い、珪素の吸引端を含む領域で稠密に測定した。それ以上の領域に付いては、各種重金属の特性X線を使い、10keVまで検出効率を測定した。使用した特性X線は、AL-Kα、Kβ、Ti-Kα、Kβ、Fe-Kα、Kβ、Cu-Kα、Kβである。その結果、シングルイベントに対する等価的な空乏層の厚さとして、1.3μmを得た。また、その時のエネルギー分解能として6keVにおいて160eV(FWHM)を達成した。実際の空乏層の厚さは、エネルギー分解能が少し悪くなるものの、2画素イベント以上の全イベントを集めて測定できる。これまで、有効なイベントは、4画素イベントまでであると思われていたため、3×3画素の範囲しか処理していなかった。しかし、今回、精密に測定した結果、11画素に広がったイベントも空乏層で吸収されたことが判り、5×5画素の範囲を処理するようにした。その結果、有効な空乏層の厚さとして、5.5μmを得た。空乏層の厚さは、電極に印加する電圧によっても制御できる。これにより、有効な空乏層の厚さとして、6.6μmまで厚くすることが出来た。こうして、CCDによるX線検出のための各種動作を十分に習得することが出来た。
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