研究課題/領域番号 |
07554009
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
新庄 輝也 京都大学, 化学研究所, 教授 (70027043)
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研究分担者 |
山本 英文 日本電気, マイクロエレクトロニクス研究所, 主任研究員
壬生 攻 京都大学, 化学研究所, 助手 (40222327)
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キーワード | 微細加工基板 / 巨大磁気抵抗効果 / 金属人工格子 / 非結合型MR効果 / 三角溝構造 |
研究概要 |
本研究で必要となる微細加工基板として、シリコン単結晶表面に三角溝構造を作成することを試みた。酸価層を持つシリコン(100)表面にレジストを塗布し、電子ビーム露光によって1ミクロン周期のパターンを印刷した。次に湿式法によって異方性エッチングを行うと、化学的に安定な(111)面が次第に露出するため、自然に54.7度の角度からなる三角溝が形成された。JEMによって表面構造を観察し、本研究目的に適した基板であることを確認した。まず基板の元の面に垂直方向から人工格子の蒸着を行い、その性質を研究した。従来の巨大磁気抵抗効果の研究は電流方向を膜面内とするものがほとんどであり、膜面垂直方向の電流を用いた実験はMR効果が増加させられることが予想されながら実験性の困難性からごく僅かの実施例しかなかった。三角溝基板上に比較的厚く生成した人工格子の場合は、平均電流方向が磁性膜と角度を持ち、従来の研究とは異なった幾何学的配置が実現できる。MR効果としては膜面垂直方向に近い状況が作りうる。三角溝基板上に非結合型人工格子を作成してMR効果を測定した結果、そのMR比は通常の膜面内電流方向の値より約2倍に増加させうることを観測した。なお、電流方向を溝方向と平均に取ると、電流方向は磁性膜面内にあることになり、同一試料について電流方向を変化させることが可能であるため、基礎研究上有意義な測定結果が得られ、例えば理論的解析から膜面垂直方向のMR比の外極値を求めることに成功した。三角溝に対し斜め方向から蒸着すると微細ワイヤ状磁性膜が作成される。ワイヤでは形状異方性によって一軸性異方性が付与され、磁性膜層の厚さとともに抗磁力が増加することがわかった。細線形状によって異方性を制御することはMR特性にも従来にはなかった特徴を持たせることになり新しい展開が可能であることが見出された。
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