本装置は、10^<-8>emu程度の極めて小さな磁化を測定するもので、感度的にはSQUID磁力計と同程度、扱い易さは試料振動型磁力計(VSM)並、かつ測定温度領域は2〜1000Kを目標としている高感度磁力計で、試料共振型磁力計(Resonating Sample Magnetometer : RSM)と呼ぶ。 本年度は(1)RSMの測定感度の向上、(2)低温クライオスタットの設計・製作を目標に研究を遂行した。 感度を低減さえる雑音として、床からRSMに伝わる外部機械的振動、空気を媒体とする音響振動、交流磁場勾配発生コイルの働く電磁力による内部機械的振動がある。これらの発生原因を探って対策を講じることにより、昨年度の最高感度6×10^<-7>emuを3×10^<-7>emu-と2倍に向上することができた。現在、5×10^<-8>emuを目標に改良を行っている。 昨年度試作した低温クライオスタットを基に、使い易い本格的なクライオスタットを設計し、試作した。良好に稼働している。ただし、ヘリウムストレージより気柱振動がはいるので、低温時では感度が半減してしまう。この点を改良したい。 以上の結果を第1報として学会発表で1件、論文発表で1件を行なった。なお、昨年度発表した本装置に関する第1報論文は、平成8年度日本応用磁気学会論文賞を受賞した。
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