本研究は、極低温状態の中性原子の運動を制御し、微細なパターンを描くことを目的としている。これはごく最近急速な発展をしつつある原子光学研究の中でも、他では行われていないユニークな研究である。電子、イオンで行われている粒子の運動の制御を、中性原子で実現するためには、まず第一に原子の運動エネルギーを非常に小さくする必要がある。これは、中性原子として準安定状態のネオン原子を用いレーザー冷却技術により実現した。希ガスであるネオンを用いることにより、マイクロチャネルプレートを2次元位置検出器として用いることが出来ることは非常な利点である。さらに、適切なエネルギー準位を選び、光や、周囲の磁場の影響を受けずに電場により運動をコントロールできることが、重要である。超低速になった原子を、円筒型マイクロ波共振器中の軸対象な電場により集束するが、Q値の高い共振器を製作し、数Wの入力パワーで集束可能なことを示した。短時間で描画するためには、原子ビームの強度を上げる必要があり、このためマイクロ波共振器の入射孔径を数mmにする。この場合凸レンズに収差が生じるので、補正のため第2のレンズを用いるが、円筒形共振器のTMO1Oモードを用いることにより、原子源の1/100まで集束可能であることをシミュレーションにより示した。また、共振器を製作し、モードの確認を行った。現在、集束確認の実験を行っている。
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