研究課題
試験研究(B)
本研究は、従来よりも小型・軽量・可搬性に優れ、移動観測や遠隔地における無人観測を可能とする車載型の境界層レーダーシステムを開発することを目的としている。本年度はその第一段階として、レーダーシステムの断念設計およびアンテナ系の開発を行った。1.レーダーシステムは、アンテナ装置、送受信装置、データ収集装置、データ処理装置から構成され、既存のLバンド境界層レーダーによる観測データを用いて惑星境界層全域を観測可能なレーダーシステムを検討し、送受信周波数3.05GHz、送信出力500W、送受信機帯域10MHz、デューティ比約4%とするとを決めた。2.フェーズド・アレイ方式のSバンド小型・軽量平面アンテナを設計・製作した。アンテナは直径1mの円形、放射利得は約26dBiで、可搬性に優れたものである。3.本平面アンテナ用に構造(スペースフレーム)を工夫した耐風雨専用レドームをアンテナと並行して開発した。本レーダーはアクティブ・フェーズド・アレイ方式であることから、アンテナ放射特性を送信/受信両モードで計測しなければならない。今後、京都大学信楽MU観測所内に仮設の構造物を作り、そこにアンテナを吊り下げ、放射電波が地表面に並行になる方式で計測する予定である。また、送受信装置、データ収集装置などの設計・製作も順次進めつつある。