研究課題/領域番号 |
07554032
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上田 寛 東京大学, 物性研究所, 助教授 (20127054)
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研究分担者 |
戸嶋 克喜 (株)マック, サイエンス・熱分析事業部, 部長
林 昭彦 東京大学, 物性研究所, 助手 (10228562)
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キーワード | 高酸素圧 / 高圧ガス示差熱天秤 / 過剰酸素 / 金属イオン欠損 / 熱平衡 / 異常酸化状態 |
研究概要 |
本年度は主に高圧ガス示本年度差熱天秤の開発を行った。高圧ガス示差熱天秤は、大きくは、高圧ガス用示差熱天秤系、高圧ガス制御系、測定制御系および解析系よりなる。心臓部である示差熱天秤系は、まず、高圧用の基本設計から始め、耐高圧用材料を選択・吟味し、加工・組み立てを行った。試験と研究を兼ねて、高温超伝導体関連物質の実験を行い、また、その結果をフィードバックして改良を行い、酸素圧150気圧、1000℃までの範囲で約0.5%の精度での測定が可能である高圧ガス示差熱天秤の開発を達成した。 高温超伝導体での実験では、La_2CuO_<4+δ>でのδは数十気圧以上ではあまり圧力に依存しないことや、LaBa_2Cu_3O_yにおいて100気圧以上で初めてyが7を越えることなどを明らかにした。現在、圧力を変えての重量の温度変化を測定し、高圧ガス雰囲気下での熱平衡を検討中である。また、LaMnO_<3+δ>やLaTiO_<3+δ>での高酸素圧下での酸素の出入りを検討した結果、これら化合物では、化学式から予想されるような格子間位置に過剰酸素が入ることによる酸素不足比性ではなく、高酸素圧下で、結晶表面に酸素が吸着すると共に金属イオンが結晶内部から表面付近へ拡散し、その結果、金属サイトに空格子点が形成される金属欠損型不定比性であることが判明した。これらの結果は、高圧ガス雰囲気下でのイオン平衡の興味深い側面である。
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