研究課題/領域番号 |
07554038
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
渡辺 巌 大阪大学, 理学部, 助教授 (50028239)
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研究分担者 |
文殊四郎 秀昭 大阪大学, 理学部, 助手 (80191071)
渡会 仁 大阪大学, 理学部, 教授 (30091771)
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キーワード | 光電子放射分光法 / 気 / 液 界面 / 溶媒和構造 / 表面分析 / 真空紫外分光 / 表面活性 |
研究概要 |
1.水溶液表面に偏折した物質の検出・分析に使用できる方法は極めて限られている。本研究は光電子を利用して水溶液の表面分析を試みるものである。 2.現有機器は分解能、迷光強度、感度において不十分なものであるので本年度および来年度にかけて新しい分光器等の整備を行う予定であり、今年度は真空紫外分光器および排気ポンプの購入・整備を行った。その他の周辺装置についても設計制作を行った。水溶液表面に析出したイオンの溶媒和構造を知ることは本研究にとって重要であり、溶液の表面の全反射XAFS解析を同時に進行させた。一方、本研究の理論面の展開をはかるため、溶液中の分子やイオンのイオン化電位の溶媒和による変化を理論的に取り扱う研究を始めた。これにはワークステーションを購入し、溶質-溶媒間相互作用を取り入れた分子軌道計算を始めた。 3.現有機器を使用しての研究成果を以下に述べる。 (1)表面活性なアルキルアンモニウム陽イオンによって溶液表面に析出させた臭化物イオンはXAFS解析によればアルカリ金属イオン溶液の表面に存在するときとは異なった溶媒和構造を持つことが分かった。 (2)アンモニウムイオンに導入したアルキル基の大きさとハロゲン化物イオンの組み合わせにより表面活性度は異なる。その中で最も特異な挙動を示したのは、ヨウ化テトラブチルアンモニウム塩であった。これはバルク濃度が高くなるとヨウ化物イオンのイオン化電位が低くなった。これは水分子によるイオンの静電的安定化が少なくなることで理解できる。ところで興味深い発見は、その電位の低下が連続的ではなく、いくつかの段を持つ変化を示したことであった。
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