研究概要 |
本研究の7年度に目標設定した研究内容は次の通りである。(1)筑波大の大型Tandem加速器からのプロトン線を地球科学的試料のPIXE分析に応用した実用化のためのテストと、定量分析を行うための条件設定。(2)地球科学的試料測定に適した統合型試料チェンバーの設計と製作。特に、(a)PIXE, RBS, ERDA, PIGEの各分析の同時測定が可能である各種検出器を配置、(b)薄片・厚板試料両用のXYZ移動型試料架台、(c)ビームと同軸の反射顕微鏡。(3)各分析法からの測定データの解析プログラムの開発。(3)ビームラインに新たに電子レンズを組み込み、80μmのマイクロイオンビームを実現する。 以上の研究目標の内、主要設備であるイオンマイクロプローブ用多機能測定器・試料台一体型チェンバーの製作は、ほぼ完成し、年度内にはビームラインに設置できる。現在、ビームと同軸の反射顕微鏡の製作とそれのチェンバーの組み込みを行っている。これによって地球科学試料測定のための要求諸条件を満たした照射チャンバーが完成する。特に試料周りのチェンバー設計に関して、各種検出器(PIXE用SSD2種、RBS用Surface Barier Deector, γ線用Ge(Li)Dertector)及び顕微鏡を互い効率よく配置する事に成功した。筑波大の大型加速器のプロトン線を地球科学的試料のPIXE分析に応用するための実用化テストもほぼ修了したが、これについては測定データの解析プログラムを外国から導入することの必要性、PIXE用の専用のSI-Li検出器の必要性などの問題点が明らかになった。プロトン線のマイクロビーム化実験も同時に進行させ、現在は80μmまでビームを絞り込むことに成功したが、ここにも新たな問題が生じた。それは筑波大学の大型加速器が4-6MeV程度のエネルギーの照射に適して居らず、ビーム強度の安定を保つことが困難な点である。これは加速器自体の設計目的によることであり、本研究ではいかんともしがたい。我々の使用可能なより小型でビーム強度の安定した加速器を求めることとした。
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