研究課題/領域番号 |
07554064
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
安積 徹 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90013490)
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研究分担者 |
藤井 金苗 日本電子(株), 分析機器技術本部ESR担当, 課長
前田 公憲 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70229300)
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キーワード | ラジカル対 / 過渡吸収スペクトル / 過渡吸収検出磁気共鳴法 / マイクロ波効果 |
研究概要 |
本研究では新しく過渡吸収検出磁気共鳴法を開発した。この方法は、中間体ラジカル対の過渡吸収スペクトルに対する共鳴マイクロ波効果を測定することにより、中間体ラジカルのダイナミクスについての詳細な知見を得るものである。従来開発されたRYDMR法は、反応生成物が発光を伴わなければならないといとう制約があった、ここで開発した方法は、そのような制約はなく、全ての反応系に一般的に適用できることが大きな特徴である。 反応系としては、キサントンとキサンテンとがアルキル鎖で結ばれた分子系における光誘起分子内水素引き抜き反応を取り上げた。この分子系では、光励起に伴ってキサントン部位が励起三重項状態に励起され、キサンテン部位から水素を引き抜き、ラジカル対が形成される。項間交差過程により一重項ラジカル対と三重項ラジカル対が共存するが、過渡吸収スペクトルはその両方を観測していることになる。三重項ラジカル対に共鳴するマイクロ波を照射することによって、過渡吸収の強度が減少する効果が観測された。この効果は、マイクロ波吸収により項間交差が加速され、それに伴って再結合反応が促進され、結果として中間体ラジカル対の濃度が減少するためである。このようなマイクロ波効果の、磁場依存性とマイクロ波強度依存性を調べることにより、ラジカル対ダイナミクスの詳細が明らかになりつつある。中でも、この方法を用いることにより、他の方法では観測不可能であった長時間にわたってのスピン相関の時間変化を観測することができたことは特筆に値する。
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