研究課題/領域番号 |
07554071
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高畑 雅一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10111147)
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研究分担者 |
伊藤 悦朗 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80203131)
長山 俊樹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80218031)
鈴木 教世 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10001851)
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キーワード | 無脊椎動物 / アメリカザリガニ / 光学的計測システム / 樹状突起 / シナプス活動 / カルシウム蛍光指示薬 / 画像処理・解析 / 中枢細胞 |
研究概要 |
無脊椎動物神経ネットワークにおけるシナプス活動を生理学実験とともに光学的に計測して、シナプス機能部位を可視化する試みとして、本年度は、中枢神経系内の神経細胞に、Ca^<2+>濃度の指示蛍光物質であるFura-2を注入し、その蛍光像を、実体解剖顕微鏡(作動距離20cm)に取り付けた高感度ビデオカメラでコンピュータに取り込んだ上で、蛍光強度の微量差を目的に応じて検出するためのソフトウエアを開発した。実験材料には、アメリカザリガニProcambarus clarkii Girardを用いた。 昨年度までに試作した実体解剖顕微鏡落射蛍光装置と蛍光像取り込み装置を用い、2種類(341.7nm、379.7nm)の紫外光照射に対する細胞蛍光を記録した。本研究で調査したのは主として腹部最終神経節の運動神経である。特に短波長(341.7nm)の照射時に、実体解剖顕微鏡下で肉眼ではほとんど細胞形態を識別することは不可能であったが、画像取込後の対数変換により、これを視覚化することが可能となった。Fura-2は、波長379.7nmの紫外光に対して、Ca^<2+>高濃度条件よりも低濃度条件での法が強い励起光を示すことが知られている。最終神経節の感覚根を電気刺激する前後で、励起光強度差を調べてみると、樹状突起の特定部位で刺激によって蛍光強度が減少することが判明した。用いた細胞の多くが未同定であり、感覚根刺激によって引き起こされる興奮性シナプス活動によってCa^<2+>の細胞内流入があるか否かについては不明であるため、この蛍光強度差をただちにCa^<2+>濃度差と結び付けることはできない。しかし、シナプス賦活にともなう細胞活動は、実体解剖顕微鏡化でも、画像解析処理によって視覚化することが十分可能であることが実証された。
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