本研究は我々人類の持つ遺伝的多様性を把握し、将来に遺すことを目的とし、それに必要な保存・管理システムの開発を、アジアにおける「細胞・遺伝子銀行」を設立するという形で目指している。 本年度は、(1)フィールド等で得られた試料の保存法の開発、(2)細胞を永久増殖系に移行させるまでの技術の改良とコスト減、(3)主としてアジア諸集団からの細胞の株化とDNA抽出、及び、性状解析をおこなった。 すなわち、B及びTリンパ球の生存率をそれぞれ高く保つ抗凝固剤・緩衝液の組み合わせと保存条件の検討をおこない、長期にわたり保存する場合はクエン酸緩衝液にヘパリンを添加したものが細胞株化率を高く保てることがわかった。細胞株化にかかる費用は、材料とする血液量を減らし、リンパ球分離から細胞株樹立にいたるプロセスを単純化することによって従来言われていた費用の7分の1にまで落とすことができた。この方法を用いてアジアの集団より株化をおこなったところ効率よく200株の樹立をみた。
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