平成7年度の研究項目としては、大きく二つがあげられる。 その一つである、原子核乾板の現像条件の最適化に成功した。これは、低温(5℃)で現像液をしみ込ませたのち、一気に高温(25℃)の環境に置く方法を採用し、現像・定着時間を最適化した。その結果、高エネルギー物理学研究所にて照射した最小電離損失粒子の銀粒子密度において、厚型(500ミクロン)の乳剤の表面と奥の方とで、10%の誤差内で全く同様の結果を得た。また感度も、十分満足できる銀粒子密度を得た(約25粒子/100ミクロン)。今後、4月に予定している、京大・タンデム加速器のヘリウム原子核ビームの照射に、道が開けた。 一方、現存する共焦点レーザー顕微鏡では、どこまで厚み方向に対して均一な画像採取が可能かを調べるため、大きさの揃った研磨剤(直径0.5ミクロン)を乳剤に溶かし、レーザー顕微鏡で観察した。まだ解析中であるが、表面付近と100ミクロン奥の方では、前者の方が20%ほど明るく観測されるようである。今後さらに解析を続ける。 二つ目の光学系のシミュレーションおよびモデルの試作においては、顕微鏡ステージ駆動系のモデルを、試作した。当初予定していた、反射も透過も共焦点という構造は、器械工作として非常に困難であること、一方、反射または透過のどちらかを共焦点にして、同時に一つのカメラでとらえることは、可能であることが分かった。現在、この光学的構造で期待できる分解能を、シミュレーションで推定すると同時に、より適した光学系の開発を目指している。
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