本研究は、マンガンファイバー法で天然水から濃縮したAc-227とRa-224から生ずるラドン娘核種(Rn-219とRn-220)を検出する事によって定量するカウンターを試作し、地球化学試料に応用することを目的としている。Rn-219の半減期は3.96秒、^<220>Rnは55.6秒と極めて短いため、マンガンファイバー表面で生成したラドンをフローシステムですみやかにα線シンチレーションセルに導入し、まずRn-219を検出し、遅延回路で時差を作って気体をもう一つのα線シンチレーションセルに導入することによってRn-220のみを検出するのが原理である。 本年度は、その装置の基本設計と組立に重点をおいた。基本的には容量の異なる3種類のシンチレーションセルを作成し、セル内の気体の滞留時間を適当に調節することによって最適条件を検討する。現在計測システムの組立はほぼ完了し、マンガンファイバーとシンチレーションセルのフロー回路の作成を行っている。また、Ac-227との検出のための標準ファイバー試料の作成を終えた。本年度中にエレクトロニクス回路の調整を行い、検出条件の検討に入る予定である。経費節約のため、当初予定していた半導体検出器によるα線スペクトロメトリーは必要に応じて既存のものを活用することとし、装置の制作に重点をおいた。種々の条件検討はできるだけ早い時期に開始するとともに、システムを完成させ実際の地球化学試料(とくに海水)に応用する。
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