高感度反射(RAS)測定ユニットを組み込んだFT-IR TRS液晶界面配向解析システムの製作に着手した。本研究テーマは、平成7年度の補正予算により採択されたテーマであり、研究費交付の交付から報告書の提出までにわずか1カ月しかなかったが、当初の研究計画に従いRAS測定装置の設計・製作に着手するまでこぎ付けることができた。今年度の残りの研究期間を使って、上記測定をFT-IR TRS分光計に組み入れ、動的界面配向解析システムとして完成させ測定を開始する予定である。解析の対象とするネマチック液晶(5CB)および強誘電性スメクチック液晶(MHPOBC)については、すでに透過型セルを用いたTRS測定を完了しており、本研究で得られる知見を系統的に解析する準備を整えている。 本年度に設計・製作する液晶RASセルは、通常のガラス基板上にAu/Al反射膜を蒸着し、一方の窓板に赤外領域で透明なITO蒸着BaF_2板を用いて作成する。このセルに電場を印加しつつTRS測定を行うことにより、基板表面近傍にある液晶分子の配向ダイナミクスを選択的に解析できるようにする。また、上部窓板をはずし、Cuメッシュを通して電界を印加するセルをあわせて製作し、極めて薄い(数十〜数千Å)液晶膜および配向膜の構造変化、配向変化を膜厚方向に連続評価することを可能とする新しい実験法を確立することをめざす。
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