研究概要 |
1.Aachen(独)のP.Fumagalli博士との共同研究により、p型(In,Mn)As/(A1,Ga)Sbへテロ構造試料に関する磁気光効果を構造パラメータを系統的に変化させて調べた結果、磁気光効果が隣接半導体層のバンドギャップ((A1,Ga)Sb層)に対応する波長領域で選択的に増加をすることを見出した。 2.試料の磁気抵抗および異常ホール効果などの電気伝導特性を調べる測定システムの構築を終了し、試料のキャリヤ輸送特性について調べることができるようになった。このシステムを用いた実験により、Mn濃度やキャリヤ濃度の異なるp型(In,Mn)Asへテロ構造試料のキャリヤ輸送特性を低温(4K)において調べた結果、キャリヤ誘起強磁性相に対する臨界キャリヤ濃度はおよそ5×10^<19>cm^<-3>のあいだであることがわかった。 3.項目2に述べた実験結果をもとに、試料に光を照射して生成する光キャリヤの磁性に及ぼす効果を調べ、光キャリヤにより試料の強磁性的な性質が強くなることを見出した。半導体による光誘起磁気相転移の研究のブレークスルーと考えている。 4.微少な強磁性MnAs結晶を析出させた不均一系p型(In,Mn)As薄膜中に含まれるMnAs微結晶の大きさと形状、および強磁性の特性を、X線分光と磁化測定により系統的に調べた。特に、X線分光測定は、ニューヨーク州立大・Kao教授のグループと共に効率的にすすめることができたため、Mnの局所構造に関する知見を深めることができた。その結果、MnAs結晶の形成に関与しない孤立Mnは、4つのAs原子に囲まれていることが明らかとなった。これまでは、6つのAs原子に囲まれていると考えられていた。
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