研究概要 |
本年度は,磁性超薄膜の成長の研究を行っていたMBE装置に,本研究の光磁気測定システムを連結できるよう以下のような真空システムの設計を行った。イオンポンプで10^<-9>Pa台まで排気可能な磁気光学効果測定用の試料室を新たに設計し,これと現有のMBE装置を超高真空の輸送機構で接続し,成膜した試料を測定室に運んで磁気光学ヒステリシスループが測れるような真空システムを設計した。 システムの設計,組み立てと平行して,MBE装置およびマブネトロンスパッタリング装置を用いてMnPt系の磁気光学材料の研究を行い,以下の結果を得た。 1.MnPt_3規則合金は,1000nmにおいて1.2°という非常に大きな磁気光学Kerr回転角を示すことを本研究代表者らは,1年ほど以前に発見している。本研究では,この大きな磁気光学効果の起源を探るとともに,短波長領域でのKerr回転角の増大を目指してMnの一部をFeで置換した規則合金の作製をスパッタ方で行った。その結果,Feの置換量が増えるとともに,Kerr回転角の1000nmにおけるピーク値が減少するとともに、560nm付近に新たなピークが生じることを見い出した。 2.MnPt_3規則合金は,面内磁化膜であるため,光磁気記録材料として利用できない。これを改善するため,CoとMnPt_3を人工格子として,界面垂直異方性の誘導を試みた。その結果,かなり大きな垂直磁気異方性が誘導され,実用的は材料が得られる可能性が示された。
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