研究概要 |
高分解能電子エネルギー損失分光(electron energy los spectroscoqy, EELS)を用いてエネルギー損失スペクトルを測定すると、表面格子力学、表面反応素過程(気体分子のみ吸着状態・位置・構造、吸着粒子間相互作用、反応中間体、反応経路など),表面電子状態などに関する情報が得られる。しかし、現存する装置では、興味の対象とする領域のEELSスペクトルの測定に、数10秒〜数分の時間を必要とする。本研究では分散補償の原理に基づく時間分解EELS装置(時間分解能:数ms〜数10ms)の開発を目差した。検討中の分光器は、SiegbarnがX線光電子分光のために考えた原理をEELSに応用したものである。モノクロメーター及びアナライザーには90°静電偏向型分光器を用いた。電極材料には非磁性のもの(Cuなど)を用いた。モノクロメーターの出射スリット及びアナライザーの入射スリットは存在しない(これまでの分光器にはある)。これまで得られたエネルギー分解能は〜30meV,ダイレクトビームによる検出器出力電流は〜200pAであり、調整中である。
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