平成7年度の研究成果として、その中核的な課題である多波長面発光レーザアレーに関しては、以下の成果を得ている。 ア)選択酸化という手法を用いて電子と光を微小部分に閉じ込める面発光レーザ構造を製作し、しきい値電流として70マイクロアンペアという、発表当時は世界最低しきい値の面発光レーザを実現した。 イ)面発光レーザの波長制御のための結晶成長法について、詳細な条件把握を行い、多波長面発光レーザ実現のためのデータを収集した。波長間隔2nmの3×3の2次元多波長面発光レーザアレーを実現した。しきい値電流としては、2〜3mAの値である。 ウ)面発光レーザアレーの変調特性やクロストークなどの動作特性の評価を行うための測定系の準備をほぼ終了し、製作した面発光レーザアレーの特性評価を進めている。 平成7年度は面発光レーザの低しきい値化、小規模な多波長アレー光源の実現など、当初計画の平成7年度に予定していた項目は概ね達成された。しかし、本研究を実施し研究目的を達成する上で、面発光レーザの発振波長の温度特性と2次元アレーの実装について問題点が明らかになってきた。今後は、デバイス設計の最適化と波長の零温度係数の可能性について検討を進めるとともに、プロトタイプのアレー素子実装技術を完成し、素子特性評価を進めていく予定である。
|