研究課題
気相分子と表面の散乱方向分布の制御を、金属表面の超平坦化と超清浄化によって実現することを目的として、表面研磨、清浄化処理、散乱方向分布測定、分子流コンダクタンス測定などの開発を実施した。固体表面における散乱分子の方向分布を高感度で測定するために多光子共鳴イオン化技術を開発した。Nb-YAGレーザー励起の色素レーザーから発生した可視光の3次高調波を利用することにより2000nm近傍の波長可変パルス紫外光の発生技術を確立した。この光源を用いた水素分子の検出実験を超高真空領域で行い、水素分子の検出限界が10^<-S>Pa以下であることを確認した。また、回転準位の弁別も十分な分解能で可能であることを確認し、オルソパラ水素分子の弁別や回転状態による散乱分布の変化に利用できることが判った。筑波大学において進められている分子線散乱実験では、分子線の単色化が達成され、単結晶Pt表面での共鳴散乱過程を検証することができた。表面の平坦化処理に関しては、実験試料として用いるPt細管内壁の研磨法について検討し、三次元形状表面の研磨技術として開発された磁気研磨技術が適用できる見通しを得た。機械的研磨の次の段階である微細凹凸表面の自己平坦化過程を研究する目的で、1気圧近傍から超高真空に至る広い圧力領域で、雰囲気気体と表面性状の変化を観察するための走査トンネル顕微鏡装置を整備を進め、今後、Pt表面のステップ構造の時間発展過程の測定を始める予定である。また、低速電子線回析によるPt表面の吸着構造の測定と解析を行った。
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