研究課題/領域番号 |
07555023
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 肇 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (60159019)
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研究分担者 |
大久保 優晴 日本分光, 応用技術課, 技術担当(研究職)
山本 潤 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10200809)
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キーワード | ブリュアン散乱 / フォノン / スーパーヘテロダイン / 周波数可変レーザ / 流体力学モード / スペクトロスコピー / 光混合法 / 動的光散乱 |
研究概要 |
ブリュアン散乱分光法は人工的に励起することが難しいギガヘルツ帯の超音波の音速・吸収を測定するほとんど唯一の方法として広く用いられてきた。我々は、局発光に励起用レーザ光の一部を用いるという光混合法の従来の常識を破り、局発光としてもう1台の独立な周波数可変レーザを用意し、その周波数を掃引して散乱光とのビ-ト信号を受信するというまったく新しい方法(光スーパーヘテロダイン法)を考案した。本研究では、我々が新しく開発した分光法を基本とし、周波数帯域を、1MHz〜20GHzへ大幅に拡張することにより、広い周波数帯域を単一の測定法でカバーすることを目指す。この測定装置は、広帯域な非接触力学緩和測定を可能とした点で、画期的な音響フォノン・スペクトロスコピーとなりうると考えている。最終年度に当たる今年度は、研究の結論を得るべく予定通り、以下の様に研究を進めてきた。 (1)測定周波数限界の低周波化:現在の低周波限界は、レーザのビーム広がりによる波数幅が測定精度上無視出来なくなること、並びに、迷光の影響で決まっている。レーザ出力の増大により、ビームを広げることによる信号強度の低下は問題とならなくなるので、低周波測定用にビーム径を広げて測定をするための光学系をまず、年度当初に開発した。 (2)フォノン測定による複雑液体の物性に関する研究:この周波数可変レーザを用いた超広帯域分光法を用い、複雑液体(高分子・ゲル・液晶・ミセル)の緩和現象・ガラス転移現象など、非常に広い周波数域にわたる揺らぎのモードを持つ系の物性を測定し、各システム特有のゆらぎのモードを観測することに成功した。さらに、流体力学理論との比較検討を遂行し、この新しい光散乱法により、これまで検出できなかったゆらぎのモードの発見など、新しい知見を得ることができた。
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