研究分担者 |
岩下 寛之 東洋鋼板株式会社, 技術研究所, 副主任研究員
坂口 雅司 昭和アルミニウム株式会社, 研究開発部, 主任研究員
山崎 進 九州大学, 工学部, 助手 (70037993)
竹増 光家 九州大学, 工学部, 助教授 (40207006)
|
研究概要 |
しごき加工用ダイスに超音波振動を伝達し,しごき加工部に様々な振幅,強度の高周波の縦振動を発生させることのできる,数種類の振動子および,振動子で発生した超音波振動を直接工具に伝達するためのホーンの開発を行った.それに出力が可変の超音波発信器を組み込み,高精度の変位測定器により無負荷時のダイス加工部の振動特性を調べた.その結果,予想どうりの振動モード,振幅,周波数の縦振動がしごき加工部に発生していることがわかり,超音波振動付加によるしごき加工装置の開発という今年度の第一の研究目標を達成できた. 上記装置を新たに開発した円筒しごき加工装置に取り付け,様々な粘度のパラフィン系潤滑剤と押出し加工と深絞り加工により製作した4種類のアルミニウム合金カップを用いて実際にしごき加工実験を行い,潤滑性能や振動子の動特性を詳細に調べた.その結果,無負荷時に比べ振幅はかなり減少するものの,加工時にもダイスは正常に振動していることがわかった.これまでは工具への材料の溶着のため加工できなかった低粘度の潤滑剤を用いた場合でも,超音波振動を付加することにより加工が可能になった.加工荷重は超音波振動を付加することにより,最低30%,最大50%程度減少し,大幅に改善された.以上のことは,しごき加工に超音波振動を付加することにより,素材と工具の境界面における潤滑特性が改善され,潤滑油膜が切れにくくなり,かつ一端切れても再形成されやすくなっているためだと考えら,しごき加工における潤滑性能の向上という第二の目標も達成できた. さらに,超音波振動付加によるしごき加工工程を最適化するために,様々な形状(ダイス半角やランド部長さ)や表面処理を施した数種類のダイス試作し,しごき加工実験を続行中である.また,加工後の試料の表面精度を,既に開発している三次元表面粗さ解析システムを用いて調べ,仕上げ面精度と超音波振動特性の関係や,その他のパラメータとの関係の定量化も現在試みている.
|