研究概要 |
平成7年度の検討課題は,(1)複動動作可能ダイセットの概念設計とその妥当性に関する検証及び具体的設計・製作,(2)効果的な分流鍛造技術資料の一層の蓄積である.(1)においては、沼津高専所有の油圧プレス装置のメインシリンダー部に歯形パンチ装着,エジェクター用油圧シリンダー部に歯形ダイ装着,歯形ダイ側方部に新規に2基の同期油圧シリンダーを増設した3動作任意可動のダイセットの基本構想について討議し,設計・製作を進めた.そして,メインシリンダー部には圧力制御と位置制御,他のシリンダー部には位置制御のための検出器を装着して,各データーがデータロガを介してコンピュータ処理する自動計測システムを構築していく予定である.平成7年度末に本構想による複動動作可能ダイセットの製作の第1段階を終了している.(2)の項目においては,第46回塑性加工連合講演会において,"分流方式による実用歯形製品の冷間精密型鍛造加工の研究:第3報歯幅の広い歯形部品への適用法"と題して論文発表した。論文投稿の際,興味ある内容のためポスターセッションも同時に実施するよう学会から要請され,並行して行った.さらに,平成8年4月下旬には中国・西安にて開催される第5回精密鍛造シンポジウムに出席して,分流方式による冷間精密鍛造技術とその応用と題した論文発表を予定していると共に,平成8年10月にはアメリカ・オハイオ・コロンバスで開催される第5回塑性加工国際会議に出席して,Precision Cold Die Forging of Actual steel Gear Toothed Products Utilizing Divided Flowsと題した論文発表を予定している.特に,これまでの分流鍛造技術の組み立て方にさらに改良を加えれば対象とする歯車のモジュールの10倍を越える歯幅の製品も低面圧で精度良く冷間鍛造できることを明確にしており,この改良形式の分流鍛造技術も本研究で考案している複動動作ダイセットに組み込むことが可能となっている.
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