研究概要 |
物体の表面がどのようになっているのかを的確に評価することは,表面の科学,特にトライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑)の分野においては非常に重要である.この表面を評価する方法としては多くの試験方法があるが,その中でも硬さによる評価は簡便であるという点から大いに採用されている.しかし,近年では,従来から考えられているサイズよりも,より微小な領域を評価する必要性が増し,より微小な表面部分の的確な評価方法の出現が望まれている.本研究は,AFM(原子間力顕微鏡)の極微細な触針を利用して,ナノインデンテーション(超微小押込み)により,その表面にくぼみを形成させ,そのままの状態でくぼみの形状をAFMによって求め,その結果から,表面の超微小硬さの測定と評価とを容易に行えるシステムの構築を目的としている.本年度は,初年度に購入したAFM装置を使用し,表面に超薄膜液体(数nm)を有する場合を試験対象として,微小荷重領域における押し付け,引き離しおよび押込み試験を行った.この結果,超薄膜液体が存在するために,押し付けや引き離しの場合には,引力,凝着力,メニスカス力が押込み荷重に大きく影響を及ぼし,そのためにくぼみの存在が確認できないことが頻繁に生じた.また,押込みを行った場合には,その場でくぼみを確認することができ,基本的なシステムの構築の可能性が確認できた.
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