研究概要 |
1.16×16(256)個のマイクロホンを保持する2次元マイクロホンアレイを設計・製作した。アルミ製の外枠の内側にピアノ線を縦横に張り、その格子点上にマイクロホンを固定するような構造とした。外枠の大きさは1辺1.7mの正方形であり、マイクロホンを配列する領域は1m×1mであるが、これは外枠を計測領域から遠ざけることで、外枠の音場への影響が少なくなるようにしている。同様の理由より、マイクロホンの保持にはピアノ線を用いている。また、ピアノ線を張る位置は任意に決定できるようになっており、マイクロホン間隔は自由に決定できる。 2.試作した2次元マイクロホンアレイが音源近傍の音場に及ぼす影響を実験的に検証した。スピーカを音源とし、その近傍にマイクロホンアレイを設置した場合と、そこからアレイを取り除いた場合とで、別のマイクロホンを走査して本来計測されるべき計測平面の音場計測を行った結果、およそ2,700Hzの高い周波数では振幅の小さいところで音場が乱れるが、1,500Hz程度までは計測結果にほとんど差がないことがわかり、対象とする周波数が1kHz程度では、試作した2次元マイクロホンアレイを用いて音場の瞬時計測が可能であると判断した。 3.試作したマイクロホンアレイの1列分(16チャンネル)の信号処理回路を製作した。この回路は1チャンネルあたり2つの位相検波器を用い、90度ずれた参照信号を入力することで、マイクロホンからの複素信号を実部と虚部に分けて取り出す。この回路を用いて1列分の計測、さらに列の位置を順次変更して平面全体の音圧分布計測を行い、従来の1本のマイクロホンによる計測結果と比較したところ、ほぼ同様な分布が得られ、かつ瞬時にデータ収集が可能であることを確認した。なお、この計測実験は無響室ではない一般の実験室内で行っている。
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