研究概要 |
マイクロマシンに適用することを目的として,前年度ではマイクロスコープ先端に搭載できるほど小形化した三軸触覚センサの原理を提案した.さらに,拡大モデルを製作し触子移動アルゴリズムの妥当性について検証した.本年度では前年度に引き続き,触子アレイの小型化と触子移動アルゴリズムの高精度化を開発の基本方針とした.本年度開発したセンサの接触面積は2×3mmで、直径と高さがそれぞれ50μmと25μmの円すい状触子を10×15個配列させた.またアルゴリズムの高精度化を図るため,拡大モデルに単軸の繰り返し負荷と二分枝直線変位経路に沿う比比例負荷を加える実験を行った.本年度の研究で得られた成果を以下にまとめる. 1.前年度の直径200μmと今年度の50μmの触子の鋳型加工おいて,放電加工条件を検討した.その結果,それぞれの触子に対し,電圧100V/放電容量3300PFおよび電圧100V放電容量100PFの条件が最適であることがわかった. 2.前年度では,光導波路に光を導く際反射板を用いていた.この構造によると,漏れ光がゴムシートの裏面で反射して,像を全体的に明るくすることがわかった.そこで,本年度では光ファイバーを用いて光導波路に光を導入する方式を考案し,設計・製作を行った. 3.拡大モデルにおいて,x方向負荷に関して繰り返し負荷実験を行うと,加えた加重とx方向変位の関係にヒステリシスが生じた.z方向荷重を増加することによって,ループ幅が大きくなることから,触子が移動できないx方向荷重の範囲があり,その結果ヒステリシスが生じたと考えられる. 4.拡大モデルに二分枝直行直線変位経路に沿う非比例負荷を加える実験を行った.その結果,x方向変位が一定にもかかわらず,x方向荷重が減少することがわかった. 5.水平方向からxおよびy方向荷重を算出するための基礎式として,移動硬化モデルを修正して適用すれば上述の3と4の結果を説明できる.したがって,この考えに基づき基礎式を定式化した.
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