研究概要 |
マイクロマシンに適用することを目的として,これまでにマイクロスコープ先端に搭載できるほど小形化したマイクロ三軸触覚センサの原理を提案した.また,拡大モデルを製作し触子移動アルゴリズムの妥当性について検証した.さらに,触子アレイの小型化と触子移動アルゴリズムの高精度化も行った.本年度では,三軸力の計測精度を向上することを基本方針として,マイクロ三軸触覚センサの感度特性の計測やFEMシミュレーションを実施した.本年度の研究で得られた主な成果を以下に要約する. 1.本年度までに開発したマイクロ三軸触覚センサに二軸の組合わせ荷重を加えることのできる荷重試験機を製作した.本荷重試験機は,精密電子天秤,自作の平行ばね式ロードセル,精密Xステージ,精密Zステージから構成された.精密Zステージによってセンサ面に垂直荷重を加え,作用した垂直荷重は精密電子天秤によって計測された.また精密Xステージによってセンサ面に水平方向荷重を加え,作用した水平荷重は自作の平行ばね式ロードセルによって計測された. 2.センシング面に垂直荷重のみ作用する場合のシミュレーションを行い、触子の接触部分での接触圧力を求めた.この接触圧力と実験から得られた画像の輝度値の関係を調べたところ,垂直力と接触面積の関係が非線形であっても垂直力と輝度値の関係が線形であったため,輝度値から垂直力を同定する方が合理的であることが明らかとなった. 3.シミュレーションと実験の両者について,センシング面に垂直力と水平力の複合荷重を加えたところ,水平力と触子の移動量の間には二直線近似で表される降伏現象があり,折れ曲がり点の水平力(降伏せん断力)は垂直力の大きさに比例して大きくなった. 4.水平力が作用している場合と作用していない場合の輝度値と垂直力の関係を比較したところ,両者はほぼ一致したため水平力は輝度値と垂直力の関係に影響を与えないことが確認された.したがって,輝度値から求めた垂直力から降伏せん断力を求めれば触子の移動量から水平力を同定できることが確認できた.
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