研究概要 |
本年度の研究はマイクロプラスチックギヤポンプに使用する歯車加工である。とくに、本研究の加工方法は設備経費がLIGA技術やフォトエッチング技術に比べて非常に少ないことが利点である。すなわち、プラスチックの熱による収縮を利用してさらに微小化しようとするものであり、研究代表者が開発したプラスチック製マイクロ歯車の製造方法は大きく分けて2つに分けられる。1次加工は機械加工である。本研究ではプレス加工とした。2次加工はプラスチックの熱収縮による加工である。以下に本年度の研究成果を述べる。 (1)共同研究者の旭化成工業が開発した、多軸延伸プラスチック材料である多軸延伸メタクリル樹脂を、精密エア-プレス加工機で一次加工を行った。製作依頼したプレス用金型のダイおよびパンチ歯車の諸元はモジュール0.08,歯数9、圧力角20°である。歯車外径でφ0.88mmであり、プレス加工歯車としては日本では最小径に属する。 (2)上記エア-プレスを使用して、一次加工で製作する歯車の精度測定と軸穴加工を行った。これらの測定はビデオマイクロスコープに購入した高倍率レンズ、レーザ式変位センサーとデータ収集システムで解析を行い、さらに、記録はビデオに収め、ビデオプリンタに記録した。 (3)一次加工したプラスチック歯車に熱と圧力を加えることにより、多軸方向に一様に収縮させるための条件を求める基礎実験を行った。実験は加熱温度、加圧時間を因子とした実験式に基づいた。 (4)軸穴加工用ダイとプレスを制作し、その加工を行った。歩留まりは50パーセントぐらいであるが、加工精度としては10μm以内である。無段変速モータにセットし、回転伝達を行った。 (5)本研究の結果を日本機械学会で講演し、同論文集に投稿予定である。 以上の結果から、本研究の基礎資料を求めることができ、次年度でのギヤポンプの加工の目安が立ち、性能試験を行うための結果を得ることができた。
|