複雑乱流場のLESデータベース

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07555061
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 小林 敏雄 東京大学, 国際・産学共同研究センター, 教授 (50013206)
• 研究分担者: 大島 まり 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (40242127) ; 谷口 伸行 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (10217135) ; 吉澤 徴 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60011649) ; 村上 周三 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40013180)
• キーワード: 乱流データベース / ラージ・エディ・シミュレーション / サブグリッド乱流モデル / 乱流統計量 / 乱流組織構造 / 剥離流 / 旋回流 / 噴流

研究概要

本研究では、乱流モデルの開発・検証において関心の高い乱流場を対象として、解析条件(SGSモデル、計算手法、境界条件など)を最新の研究成果に基づき検討した上で、近似性度の高い乱流ラージ・エディ・シミュレーション(LES)を実行し、その結果を統計平均量(保存量の収支および乱流相関量の空間分布など)と組織構造解析(多点相関、コンピュータ・グラフィックスなど)の2つの観点から整理して、乱流モデル研究に有用なデータベースとしてまとめることを目的とすることを目的とした。そのために、昨年度実施したLES計算の5事例に加えて、2事例(壁衝突噴流、および、障害物のあるチャンネル流れ)を実施した。また、ダイナミックSGSモデルの複雑流れ場計算への応用を考慮して差分法、有限要素法における詳細な数値検証データを示し、より高次のSGS乱流モデルの評価についての理論的検討と基礎的流れ場における検証を行った。これらのすべてのLES解析結果についての平均速度およびレイノルズ応力の空間分布などの基本的な統計量を得てデータベースとした他、特に、壁衝突噴流に関しては乱流エネルギの収支などの詳細な統計量データを算出し実験値との比較検証を行い、角柱周りの流れにおいては準周期変動の各位相ごとの統計平均量を示した。角柱周り流れに関しては、SGSモデルおよび対流項差分スキームの影響も評価した。また、それぞれの解析結果から乱流組織構造を示す2Dおよび3Dグラフィックス・データを作成してデータベースに加えた。

研究成果

• [文献書誌] 谷口 伸行: "差分法および要素法LESにおけるダイナミックSGSモデルの評価" 生産研究. 49. 11-18 (1997)
• [文献書誌] 坪倉 誠: "平面衝突噴流のLES(第1報)" 生産研究. 49. 31-34 (1997)
• [文献書誌] 坪倉 誠: "平面衝突噴流のLES(第2報)" 生産研究. 49. 35-38 (1997)
• [文献書誌] 小垣 哲也: "角柱周りの流れのラージ・エディ・シミュレーション" 生産研究. 49. 46-49 (1997)
• [文献書誌] 朴 南燮: "Lagrangean Dynamics SGS Modelに基づくLESによるチャンネル内立方体障害物周辺の乱流解析" 生産研究. 49. 50-53 (1997)
• [文献書誌] 弘畑 幹鐘: "低レイノルズ数型k-εモデルを用いたバックステップ流れの数値解析" 生産研究. 49. 79-82 (1997)
• [文献書誌] 小垣 哲也: "ラージ・エディ・シミュレーションによる静止及び振動角柱周りの乱流数値解析" 日本機械学会論文集(B編). 62. 1716-1723 (1996)
• [文献書誌] Akira Yoshizawa: "Modeling of the Dynamic Subgrid-Scale Viscosity in Large Eddy Simulation" Physics of Fluids(American Institute of Physics). 8. 2254-2256 (1996)
• [文献書誌] 坪倉 誠: "改良型Dynamic sub-grid scale modelのチャネル乱流による評価" 日本機械学会論文集(B編). 62. 3015-3022 (1996)
• [文献書誌] 坪倉 誠: "スケール相似則モデルの併用によるダイナミックSGSモデルのチャネル乱流LESによる検証" 日本機械学会論文集(B編). 62. 3292-3299 (1996)
• [文献書誌] Toshio Kobayashi: "The Verification of the SGS Model and Applications of LES to a Practical Engineering Problem" Proceedings of the 3rd TRA Conference. 1-20 (1996)
• [文献書誌] Nobuyuki Taniguchi: "Large Eddy Simulation of Flows Around a Bluff Body-Effects of Upwind Schemes-" China-Japan Workshop on Turbulent Flows-CJWTF'96. 1-18 (1996)
• [文献書誌] 大島 まり: "有限要素法によるLESの運動量保存性" 日本機械学会流体工学部門講演会講演論文集. 96. 119-120 (1996)
• [文献書誌] 田中 亮成: "ダイナミックSGSモデルの差分法による定式化とチャネル乱流による評価" 第10回数値流体力学シンポジウム講演論文集. 150-151 (1996)
• [文献書誌] 朴 南燮: "チャネル内立方体障害物周辺の流れのLESとQUICKの影響について" 第10回数値流体力学シンポジウム講演論文集. 172-173 (1996)
• [文献書誌] 小林 元: "非圧縮性流体の有限要素法解析における運動量保存性と格子依存性" 第10回数値流体力学シンポジウム講演論文集. 332-333 (1996)
• [文献書誌] Marie Oshima: "Development of Filtering Operation for Dynamic SGS Model Using Finite Element Method" The Secound ERCOFTAC Workshop on Direct and Large Simulation. (1996)
• [文献書誌] Nobuyuki Taniguchi: "Large Fddy Simulation Using Finite Difference Method and Finite Element Mehtod" 2nd Asia Workshop on Computational Fluid Dynamics. 39-44 (1996)
• [文献書誌] K.Kondo: "Generation of Velocity Fluctuations for Inflow Boundary Condition of LES" CWE 96. (1996)
• [文献書誌] 大岡龍三: "コロケーショングリッドを用いたLESにおけるエネルギー非保存性の検討" 日本建築学会計画系論文集. (1997)
• [文献書誌] S.Murakami: "Numerical Prediction of Flow Around a Building with Various Turbulence Models" ASHRAE Transactions. 102,pt.1. (1996)
• [文献書誌] S.Kato: "Recent Progress in LES and Its Application to Turbulent Vortex Shedding Flows past 2D Bluff Body" Third Asian-Pacific Conference on Computationa Mechanics. (1996)
• [文献書誌] 石田義洋: "一般曲線座標系・スタガードグリッドによる気流解析法(その1)" 第10回数値流体力学シンポジウム講演論文集. 160-161 (1996)
• [文献書誌] 飯塚 悟: "LESのための流入変動風の作成法に関する研究 -波数空間の3次元エネルギースペクトルに基づく流入変動風を用いた等方性乱流の解析" 第10回数値流体力学シンポジウム講演論文集. 170-171 (1996)
• [文献書誌] 大平 昇: "浮力による乱流フラックスの減衰・促進を考慮した修正k-εモデル" 第10回数値流体力学シンポジウム講演論文集. 180-181 (1996)
• [文献書誌] 三浦靖弘: "マルチグリッド加速手法を応用したマルチブロック並列流体計算によるDNSの試み" 第10回数値流体力学シンポジウム講演論文集. 274-275 (1996)
• [文献書誌] 岡本正芳: "一方程式型Subgridモデルに関する研究" 生産研究. 49. 3-10 (1997)