平成7年度は、飛翔する非球形粒子の二次元速度、粒子形状、粒径の同時測定手法の確立を目指した実験的研究を行った。主な内容は(1)光センサユニットと信号処理システムの製作、(2)数値計算による誤差要因の特定、(3)自然落下する粒子の測定である。 粒子像を拡大投影するためのレンズ、光ファイバ束、アバランシェ・フォトダイオードからなる光センサーユニットの製作を行った。これと共に、A/Dコンバータとトランジェントメモリを中心とする電子回路とパーソナルコンピュータで構成する信号処理器を製作した。製作した測定器は粒子形状測定において焦点深度の影響で誤差を生じたため、数値計算と実験により両面からこの影響を検証した。数値計算では、Maxwellの方程式から直接散乱光の振幅が計算できる球形粒子を対象として解析した。実験は製作した計測器による測定の他、YAGレーザを光源として様々な焦点深度での粒子像のサーモカメラによる影響を試みた。両者を比較検討することにより誤差要因を特定して、これを考慮した信号処理アルゴリズムの開発した。このアルゴリズムにより誤差は10%程度に抑えられた。 さらに、自由落下中の球形・非球形のガラス粒子、金属粉体、セラミック粉体の自然落下中の速度、粒径並びに飛翔姿勢を測定した。粒径について顕微鏡測定との比較検定を行った。本手法による粒径の測定値は、粒子の形状や光学的性質によらず顕微鏡による測定値とよく一致し、測定原理、測定装置の妥当性が確認された。
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