一般に工業機器の実流動場にみられる分散系固気二相流の多くが任意形状の微粒子によって構成されており、機器の性能向上に貢献する信頼性の高い測定手法が望まれている。流体中での非球形粒子の挙動は、主に流体から受ける抗力と粒子の慣性力が支配するが、現状では粒子径ですら正確に測定が困難で、個々の流動場において試行を繰り返す非効率的な評価に依存している。本研究では、レーザ光を用いて飛翔中の非球形粒子の等価直径、形状、飛翔姿勢および速度を非接触同時測定する測定システムを考案し、実流動場での粒子挙動の実験的解析に供する測定器の開発ならびにその評価を行った。開発した機器を利用して実流動場中での種々の粒子を測定し、特に球形粒子との比較を中心に、粒子径に対する測定精度、その形状がもたらす粒子挙動への影響を実験的に調査した。 昨年度までに開発された測定システムの汎用性を拡大するために、信号処理プログラムの改善を実施した、具体的には、測定される流速範囲の拡大のために、信号処理処理ルーチンの高速化をはかった。実流動場に対する検証実験に関しては昨年度までの実験をさらに発展させ、粒子径、形状や流れの時間スケールなどをパラメータに含めた条件の設定を行った。同軸噴流中での実験を引き続き行い、静止流体中での落下終端速度がほぼ等しい、100ミクロン程度の粒子を用いて、噴流下流方向の各断面での粒径、速度、粒子数密度の計測を行った。球形、非球形粒子の比較すると、平気速度に関しては大きな差異は見られなかったが、変動速度に関しては非球形粒子の方が大きくなる傾向を示した。また、粒子数密度分布の測定結果から、非球形粒子の方が半径方向の拡散量が大きくなることが明らかにされた。これらは非球形粒子が周囲流体の流れにより受ける抵抗が、粒子の姿勢に依存する事から、球形粒子より大きな抗力を受けるため、その変動速度と拡散量が大きくなると結論づけられた。
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