直接接触式蒸発器の実用化に必須な運転条件である低温度差における安定した沸騰・蒸発の継続を行うことのできる蒸発器の要素機器および運転方法の開発を目標にして、本年度は以下のことを行った。 (1)直接接触式蒸発実験装置を有する蒸発・凝縮システムを製作し、試験運転を行った。また、微細熱電対を蒸発器内をトラバースし、気相・液相温度の変化を測定することにより、蒸発性能を測定する技術を確立した。この実験装置と測定方法により、以下の蒸発媒体注入ノズルの性能試験を継続している。 (2)蒸発器の高性能化に重要に関係する蒸発媒体注入ノズルについて、次のような内部構造を有するノズルを試験した。 (a)ノズル内に電熱ヒーターを装着したもの:安定した沸騰・蒸発を継続可能であり、蒸発性能の制御が容易にできる。加熱に要する電力が損失となるのでその見積もりが今後の課題である。 (b)ノズル内面にポーラス体を付着したもの:ノズルのポーラス体を介した加熱流体と蒸発媒体との高性能沸騰熱伝達により、多数の沸騰気泡核を供給する。ノズルの性能は、加熱流体の温度に支配されるが、ポーラス面における沸騰開始温度差が小さいので、高性能化が期待できる。現在試験中であるが、小さい温度差での安定運転が可能である。 (c)ノズルに超音波振動を印可したもの:超音波振動による沸騰熱伝達の促進効果を期待して実験を行っている。
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