研究課題/領域番号 |
07555077
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金子 成彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70143378)
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研究分担者 |
寺村 彰 (株)大林組, 技術研究所, 主席研究員
渡辺 辰郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (70011179)
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キーワード | ダンパー / 非線形振動 / スロッシング / 非線形波動 / 同調液体ダンパー / 制振 / 制振装置 / ダンピング |
研究概要 |
自由表面を持つ液体の動揺を利用している制振装置は同調液体ダンパー(TLD)と呼ばれ、実際の構造物にも組み込まれるようになってきた。しかしながら、対象となる構造物の固有周期が約3〜5秒であることから、実際の構造物に搭載する以前に実験室での加振実験によって制振性能を正確に予測することは困難である。そこで、適切なモデル化に基づいた計算機シミュレーションコードが必要となってくる。本研究の目的は、各種TLDの制振性能を計算によって予測可能にする設計支援システムを開発することである。 昨年度から今年度にかけて行われた研究は、容器内で発生するスロッシングを自由表面近傍に定常流れを作ることによって制振性能をコントロールすることの可能な流水型TLDの開発と制振性能の予測である。矩形容器を対象として、容器内に流入・流出がある時のスロッシングを利用した循環流制御による可変減衰型同調液体ダンパーに関する研究を行った。まず、流入と流出がある時のスロッシングの応答特性を調べるために、モデル水槽を作成し、加振台の上に搭載し、加振振幅、振動数と液深をパラメータとして、加振実験を行った。その後、摂動法による非線形解析を実行し、自由表面近傍を流れる流水がスロッシング応答特性に与える影響について解析した。その後、流体力を測定することの可能な加振台上で、流入・流出を伴う矩形同調液体ダンパーの性能試験を行った。 その結果、流入・流出のある矩形容器におけるスロッシングの非線形応答に関する研究からは、循環流の流速が大きくなるにつれて、ハードスプリング型の非線形性が強くなることが解析と実験から明らかになった。さらに、スロッシングによって発生する流体力を測定し、これをもとに加振周期の1サイクル当たりに発生する散逸エネルギーを求めた結果、循環流が存在する場合には、エネルギー散逸効果が現れる周波数帯域が広がることが明らかになった。
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