機械システムにおいて、自動車や鉄道車両のような交通機械、各種産業機械を問わず、振動現象の発生は色々な問題を引き起こすため、各種の防振対策が施されている。しかし、本来、交通機械では走行エネルギー、各種産業機械ではその駆動エネルギーの一部が振動エネルギーに変換されたものであり、従来のパッシブな防振方法では、ダンパによる減衰力は熱エネルギーに変換され、エネルギー損失を伴うことになる。アクチュエータを利用したアクティブな振動制御では、エネルギーを消費してしまう。この不合理を解決し、合理的な振動制御方式を確立することが本研究の目的である。 平成7年度は、主として理論的な検討と試験装置の具体的な設計を行った。理論的な検討に関しては、まず本システムを2自由度振動系として数学モデルを構築し、次にこのモデルを用いて制御系の設計を、ロバスト制御の一手法であるH∞制御理論により行い、防振効果、アクチュエータの消費エネルギーおよび回生エネルギーなどの検討を行った。なお、解析にはアクチュエータおよびエネルギー回生ダンパとして働く要素として、電気モータを用いた。解析の結果によると、本システムは十分な防振効果があり、高周波数領域においてはエンルギーが回生されることが明らかになった。制御エネルギーを必要とする周波数領域は低周波なため、回生されたエネルギーをどのように蓄積するかをさらに検討する予定でいる。装置の試作に関しては、動電型振動試験装置、実験計測用ディジタルオシロスコープを購入し、アクティブ・エネルギー回生・ハイブリッド振動制御装置の基本設計を行った。
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