研究概要 |
平成8年度は誘電体の分極変化や電荷蓄積効果を用いたデータビットの記録方法について研究した.第1に誘電体薄膜を圧電性材料のスパッタ法により製作した.PZT系のターゲット材料を用いた.原子間力顕微鏡のプローブに電圧を印加することで圧電薄膜の分極反転の実験を行った.圧電変位の発生を測定することで分極反転できることを確認した.しかし,圧電変位を検出する方法では応答速度が低く,また圧電薄膜の膜質が荒く,信号とノイズの比が小さかった.またゾルゲル法により溶液からスピンコートにより成膜を行ったが,表面が粗く,ピンホームが存在するためよい書き込み特性は得られなかった.そこで静電容量変化により検出する方法を試みるため,静電容量顕微鏡の機能をこれまでに開発した顕微鏡装置に付加した.電圧印加によりシリコン窒化膜と酸化膜の界面に電荷を蓄積し,発生した空乏層による静電容量変化を改良装置により検出した.コントラストも良く.データビットの記録,検出が行えることを確認した.ビット形状の評価に新しくタッピングモード静電容量検出法を開発した.成膜後の界面において空乏層が発生しているため第1回目のデータビット記録のコントラストは消去後書き込んだデータビットのコントラストより低いことが明らかになった.書き込み前に消去のプロセスを行うことで高いコントラストのビットが得られた.タッピングモードの静電容量顕微鏡により表面形状と静電容量の分布が同時に測定でき,ビット形状を精度良く測定できることが明かになった.直径0.5μmビットの書き込みと消去を実現した.
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