研究概要 |
本研究は、筆者の着想によるプッシュプル方式のパラメトリック変圧器を用い、信頼性と機能生の高い無停電電源装置の開発を目的として、プッシュプルパラメトリック変圧器の動作機構の解明と解析設計手法の確立、及び試作器による検証を行ったもので、平成7年度より2ヵ年の予定で進めているものである。以下に平成8年度における研究成果を記述する。 1.回路シミュレーションによる検討:本年度においては先ず、直交磁心のSPICEモデルを構築し、プッシュプルパラメトリック変圧器の定常特性の解析を行った。計算値と実測値は良好な一致を示した。さらに、負荷短絡や開放などが生じたときの過渡特性について解析を行ったところ、良好な結果を得た。これらの成果に基づき、プッシュプルパラメトリック変圧器を用いた無停電電源の動作について検討を行ったところ、本方式で無瞬断の無停電電源が実現可能なことが明らかになった。 2.最適設計法の確立:前年度に提案した直交磁心の3次元磁気回路に基づき,本年度はより精度の良い解析手法の確立を目的として,直交磁心磁気回路と外部電気回路を従属電源で結合することにより、磁場-回路の連成解析を行った。これにより、回路動作特性が極めて高精度で解析できるとともに、動作時の磁束分布を定量的に把握できるようになった。これは全く新しい手法である。 3.応用分野の開拓:上記と平行して,直交磁心の新しい応用についても検討を行い,低歪みで高速応答の可能な無効電力補償装置を開発し、実証試験によりその有用性を明らかにした。 以上,本年度の研究の結果,プッシュプルパラメトリック変圧器を用いた無停電電源の実用化の見通しが得られるとともに,直交磁心の新しい応用分路の開拓がなされ,所期の目的はある程度達成されたものと考えられる。これらの成果は電気学会,日本応用磁気学会学術講演会及び電気学会論文誌等で発表を行った。
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