研究概要 |
本研究は,申請者らが先に開発した「磁束収束形電磁ポンプ」を電磁界数値解析,ならびに試作機によりその動的特性を把握し,高速増殖炉の液体ナトリウム循環用の大型電磁ポンプへの適用に向け研究を行った。 1.二重励磁構造の磁束収束形電磁ポンプの設計 磁束収束形電磁ポンプを大容量化へと発展させる二重励磁構造を考案し,内部励磁部の放熱,コイルの接続,液体金属の管構造,流体抵抗の減少法,組み立て手順,組み立て金具等多大な労力により完成させた。 2.低融点金属Uアロイによる実験系製作と実験の遂行 Uアロイによる温度70度定温とした動特性測定(流量,流速,推力,温度等)の可能な循環系を製作した。製作した電磁ポンプを系に接続し,シミュレーション結果と比較し,特性の改善を確認した。 3.有限要素法による電磁ポンプの動特性の解析 有限要素法に基づいたシミュレーション結果により,ナトリウム等の銅の導電率の10%程度の高導電率の液体金属では170%の推力改善が得られることが明らかになった。また,磁束収束形電磁ポンプの3次元解析を行った。この結果は,前年度における2次元による簡易計算との結果をうらずけるものである。 4.ナトリウムでの電磁ポンプの特性 動力炉・核燃料開発事業団の共同研究による磁束収束形電磁ポンプのナトリウムを用いた1年間の実験結果をまとめた。この結果,ポンプ性能として,印加電圧約400V,電流27Aにおいて,最大流量約520l/min,最大吐出圧2.6kg/cm^2が得られた。また,ポンプ効率は11%であり,従来の同程度の流量を持つポンプと比較し約2倍程度の改善があった。
|