研究概要 |
資源エネルギー庁は平成6年9月30日付けで,「高調波抑制ガイドライン」を電力・家電業界に通達し,高調波対策に向けて大きく前進した。しかしガイドラインでは,テレビやOA機器が発生する不特定高調波(5次・7次)については25%の低減に留まり,配電系統に流出する不特定高調波を完全に抑制することは不可能に近い。しかも高調波に対する社会的認識も低いことから,ガイドラインの達成は容易ではない。 本研究は,従来のパッシブフィルタ(5次・7次LCフィルタ)と小容量アクティブフィルタを直列に接続した,実用性の高い配電系統用高調波フィルタの開発を目的としている。これは,配電系統に分散設置して不特定高調波を抑制しようとするもので,アクティブフィルタの制御法に特長がある。平成7年度では,以下の点を明らかにした。 1.アクティブフィルタ(0.5kVA)の制御法を検討し,5次・7次同調フィルタ(パッシブフィルタ)に直列に接続したシステム構成について,ディジタルシミュレーションにより動作確認を行った。その結果,当初の計画の通り,並列・直列共振の抑制能力に優れていることを確認した。 2.パッシブフィルタとして使用する5次・7次同調フィルタを設計し,進相容量やL,Cの最適値を設計した。 3.配電系統を模擬するシミュレータ装置(40kVA)を設計・製作し,配電系統で問題となっている高調波拡大現象を精確に模擬できることを実験により確認した。
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