研究概要 |
近年,パワーエレクトロニクス技術の発展により,電力用半導体素子を用いた電力・電子機器が数多く使用されるようになってきた。一般産業用パワーエレクトロニクス機器やインバータエアコン,テレビ・OA機器などの家電・汎用品が発生する高調波電流が配電系統に流入し,現代社会の新たな“公害"として早期対応が迫られている。 本研究の目的は,高調波拡大現象の抑制を目的とした配電系統用アクティブ・パッシブ併用フィルタを開発することである。これは,パッシブフィルタと小容量アクティブフィルタを直列に接続したシステム構成に特長がある。アクティブフィルタの主回路には,3台の単相フルブリッジ電圧形PWMインバータを使用した。系統インダクタンス(6.8%)との直列共振により,5次高調波が拡大するように進相コンデンサ(0.3pu)を接続した。さらに実験では,上位系統に存在する5次高調波電圧を模擬するために,三相PWMインバータを用いた高調波発生装置を接続した。 本研究の研究成果をまとめると,以下のようになる。 1.実際の配電系統を模擬した配電系統シミュレータ(200V,60Hz,20kVA)を製作した。 2.アクティブ・パッシブ併用フィルタの新しい制御法を開発し,その動作原理と設置効果をコンピュータシミュレーションで確認した。 3.設計・製作したアクティブ・パッシブ併用フィルタを配電系統シミュレータに接続し,高調波拡大現像を効果的に抑制できることを実験により確認した。 4.アクティブフィルタの所要容量は,系統容量の約0.6%で済むことを確認した。
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