研究課題/領域番号 |
07555097
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
川辺 光央 筑波大学, 物質工学系, 教授 (80029446)
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研究分担者 |
岡田 至崇 筑波大学, 物理工学系, 講師 (40224034)
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キーワード | GaAs-on-Si,GaAs-on-Ge成長 / 原子状水素援用エピタキシ- / 分子線エピタキシ- / ヘテロエピタキシ- / 表面修飾効果 / 結晶欠陥、転位 / 高効率太陽電池材料 / 量子構造太陽電池 |
研究概要 |
高効率太陽電池材料の開発には、格子不整合系の化合物半導体ヘテロエピタキシ-技術の確立が必要不可欠である。しかし最も可能性の高いGaAs-on-Si材料系では、エピタキシャル成長過程に関する基本的な点で不明な部分が多く、初期の研究から十数年の歳月が経過した今日において、実用に十分耐えうるものはまだできていない。その問題点は、GaAs中の高密度の貫通転位と残留応力とに大別される。前者の主要要因は格子不整合に起因したものであるが、同時に約2.6倍の熱膨張係数の差による熱歪が新たな貫通転位を発生することが分かってきた。残留応力もまた熱歪が原因である。従って、格子不整合によるミスフィット転位をGaAs/Si界面に閉じ込めると同時に熱歪が少ない低温成長技術の開発が必要であると考えられる。 そこで以上のような問題に対する基本的解決策として、原子状水素を援用した分子線エピタキシ-(MBE)法の開発を独自に進め、GaAs薄膜の品質が大幅に改善されることを示した。これは原子状水素によって、(1)成長表面に吸着する不純物の除去、(2)表面原子の拡散過程の制御、(3)表面エネルギーの修飾による二次元核成長モードの促進、(以上、平成7年度研究分)、また(4)水素原子による深い準位や欠陥の不活性化、(以上、平成8年度研究分)、などの諸効果が顕著に現れるためである。Si基板上のGaAsヘテエピタキシャル膜の残留転位密度としては10^4cm^<-2>台まで抑えることに成功した。 本年度は、これまでの結果と解析を踏まえて、GaAs系太陽電池デバイスの試作を行った。当初の予想どおり、原子状水素援用MBE法により作製した試料の方が、水素なしの通常のMBE法で作製したものより、分光感度特性、エネルギー変換効率ともに向上した。したがって、原子状水素援用の効果とこのエピタキシ-法の有用性を十分に示すことができたと考える。
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