研究概要 |
本研究は,本申請者が提案し実現している液相系弾性表面波マイクロセンサを利用した水質評価装置を開発することを目指している.本年度は次のような成果を得ることができた. 1.SLAIS (SAW Liquid Analyzing and Identifying System)の開発 多機能マルチチャンネル溶液測定システムを開発し,水の力学的特性(粘性率),電気的特性(複素誘電率)が同時に高感度で測定でき,水の種類などが識別できるシステムを開発した.同時にプローブ型の新しい電極を試作した. 2.イオン溶液識別システムの開発 弾性表面波センサを用いてフロー系を構成し,その過渡応答波形の違いを利用し,各種イオンの識別に成功した. 3.混合溶液の成分を知る新しいアルゴリズムの開発 単一イオン水溶液の濃度を知るだけでなく,二つのイオンの混合水溶液のそれぞれのモル濃度を知るアルゴリズムを考案した.実験的にもその有効性を確認し,さらに多種類のイオンが含まれる場合の分析方法の貴重な一歩を築くことができた. 4.水中残留中性洗剤の新しい超音波測定法の開発 1個の微少液滴を弾性表面波デバイスにより振動させ,その振動数の変化により微量の残留中性洗剤の測定ができることを実験的に見出した.表面張力の変化が振動数の変化として検出される.
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