研究概要 |
複数の搬送波光周波数を用いる光通信技術を、光FDM(Frequency Divsion Multiplexing)と呼ぶが、この技術を用いた光通信システムの研究が、最近のデバイス技術の進歩により、現在ようやく活発化しつつある。このようなFDM光ネットワークでは光周波数のやり取りを行うので、レーザ光の周波数の絶対安定化、ネットワーク間での周波数の同期、周波数変換など周波数を制御する技術が重要になる。今年度は、周波数変換デバイス、FDM信号電送技術などのFDM光ネットワークを支える基本デバイス・システム技術に関して検討を行った. まず、半導体光増幅器における波長変換デバイスについて検討した。四光波混合を用いた波長変換器を試作しその評価を行ったところ、100Gbit/s以上の伝送速度に対応することができるが、変換効率が-20dB程度にとどまることが明らかになった。これに対して相互利得変調を用いた場合には、変換効率は高いものの応答速度がキャリア寿命時間で制限される。しかしデバイス長を長くすると、信号光波形の歪みがキャリアの引き抜きと注入を加速し、50Gbit/s程度の応答が可能であるという新しい知見がえられた。両者のより詳細な比較検討が今後必要である。 次に、長距離・高密度FDM伝送を実現するために、分散マネージメント法の研究を行った。チャンネル間の相互位相変調によるクロストークと自己位相変調による単一チャンネルの波形歪みを同時に抑圧するための分散配置を設計し、長距離FDM伝送の限界を明示した。5Gbit/sのチャンネルを20多重した場合、チャンネル間隔を0.7nm以上とすれば10,000kmの伝送が可能となることが示された。
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