研究概要 |
本研究は,光接続ネットワークと並列光演算技術を融合させた並列計算パラダイムOAL-NC(optical array logic network computing)に基づいた光電子並列コンピュータの開発を目的とする.本年度の研究により得られた成果・知見は以下の通りである. 1.OAL-NCの概念の明確化を行い,その機能,動作を光アレイロジック言語により記述した.また,本パラダイムの有効性を確認するため,画像処理,最大・最小値検出,最適化問題について実行効率を評価した. 2.OAL-NCに基づいた光電子並列コンピュータアーキテクチャの検討を行った.プロトタイプシステムとして,プロセッサ数16×16,システムクロック20MHZ,最小限度の論理演算と算術演算機能の実装を設計仕様とした.また,シミュレーションにより設計システムの動特性を評価した. 3.当初,フィールドプログラマブル論理ゲートによる要素プロセッサの実装を検討したが,使用素子数の増加と必要I/Oピン数の問題により,試作システムには不適当であると判断した.そこで,トランスピュータT425iで16個の要素プロセッサをエミュレートする方式を新たに考案した.代替方式では,各要素プロセッサの機能は一つのプロセスにより実現される.トランスピュータの演算能力を活用しうると共に非常に自由度の高いシステムを構築できる特徴を持つ. 4.要素プロセッサ用光入出力ポートおよび周辺回路の検討・設計を行った.周辺回路はフィル-ドプログラマブル論理ゲートによる実装が適当であると判断し,その設計を進めた.光出力ポート用の発光ダイオードを高密度実装した発光素子モジュールを作製した. OAL-NCの動作上の問題点として,要素プロセッサアレイと光アレイロジックネットワークとの同期問題が明らかになった.非同期システムと同期システムのインターフェイスについて詳細な検討が必要である.
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